離婚
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厚生労働省の出している平成30年の人口動態統計によると、H30年の離婚件数は20万7,000組と報告されています。
これは人口1,000人に対して1.66人が離婚をしたという計算になります。
つまり、1,000人のうち1人もしくは、2人が離婚しているということです。
メディアでは「3人に1人が離婚する時代」などと騒がれているようですが、3人に1人という数値は、単純にその年の婚姻件数と離婚件数を割って出した数字です。
離婚件数はその年の婚姻件数ではなく、過去に結婚した全ての夫婦が対象となるので、年間の件数と総計の件数を割るだけではじき出した数字には無理があります。
3人に1人が離婚するなどと聞くと、とてつもない数の夫婦が離婚していると思われがちですが、実際は1,000人に1人か2人の割合なのです。
ここでは離婚にまつわる様々な内容について取り上げてみます。
離婚の手続きの順序
協議離婚
離婚をするにあたり、まずは双方の話し合いから始めることになります。
双方の協議の上で双方が納得し同意に至れば、理由はなんであれ、離婚届を提出、受理されれば離婚は成立いたします。
協議の上で離婚に至ることを「協議離婚」と言いますが、離婚の9割が協議離婚で離婚成立に至っています。
協議の内容として、「離婚をする、しない」という内容だけでなく、子供の親権者も決めなくてはいけません。
事実上、協議離婚では、財産分与、慰謝料、養育費、面会交渉権等の取り決めが無くても離婚は可能です。
ですが、離婚後のトラブルを防ぐ為にも、財産分与、慰謝料、養育費、面会交渉権等、離婚条件についての取り決めはしておいたほうが賢明です。
協議し、同意した内容を公正証書を制作しておいた方が良いでしょう。
協議が不調に終わった場合、次は「離婚調停を」申し立てることになります。

離婚調停
双方の話し合いで離婚の合意に至らなかった場合や、離婚の条件の合意が出来なかった場合には、「離婚調停」を申し立てることになります。
協議離婚の段階では、お互いに顔を合わせ当事者同士の話し合いになる為、どうしても感情的になってしまい、纏まる話も纏まらなくなることが多いのですが、
離婚調停は、家庭裁判所において第三者である調停員を間に入れて当事者同士が顔を合わせることがない為に、冷静になって落ち着いて話し合いする事が可能です。
離婚調停では、離婚の合意だけでなく、親権や面会交流権、養育費や慰謝料、財産分与など子供の事やお金に関わることも話し合うことができます。
また調停で合意に至った場合は、「離婚調停証書」という法的拘束力のある証書に纏められます。
公正証書との違いは記載された権利義務に関する除斥期間に違いがあり、
- ●公正証書では財産分与が2年・慰謝料が3年・ 養育費が5年
- ●財産分与・慰謝料・養育費すべて10年
となります。
最近は離婚時の財産分与や養育費等の件できちんとした取り決めをして、調停証書にしておく為に、協議を省き、離婚調停から開始する方々も見られます。
離婚調停が不成立になった場合、次に「離婚裁判」に移行していくケースが多いです。
不成立後2週間以内に離婚訴訟を起こせば、離婚調停の申込手数料を、離婚裁判の訴訟提起の手数料に充当することができます。
離婚裁判
離婚調停では双方の話し合いによって解決する為、片方が断固として離婚を拒絶した場合離婚は成立しません。
ですが離婚裁判になると、相手が望む、望まざるとに関わらず、裁判官の判断によって離婚を成立させる事が可能となります。
離婚裁判を提訴する為には、法廷離婚事由という「裁判で離婚する為に必要な事由」が必要となってきます。

法廷離婚事由とは
民法770条第一項は以下のように定められています。
夫婦の一方は、以下の場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- ●配偶者に不貞な行為があったとき。
- ●配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- ●配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
- ●配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき。
- ●その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
離婚裁判で争うことになっても上記の5つの事由が無い場合裁判所は離婚を認めることはできません。
このような原因が「相手方にある事」により離婚が成立します。
これらの原因を作り出した本人は「有責配偶者」と言い、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められておりません。
配偶者に不貞な行為があったとき(770条1項1条)
不貞行為とは配偶者以外の異性と自由な意思により性的関係を持つ行為を言います。
弊社のような探偵事務所は、このような裁判を見越し、不貞行為の存在を立証できる証拠を撮影します。性的交渉そのものの撮影をする事は不可能に近いので、「性的交渉を容易に想像できる」ような証拠、例えば、ラブホテルの出入りの画像等を収集致します。
同一人物と複数回、性的交渉が認められるような証拠が望ましいとされています。
配偶者から悪意で遺棄されたとき(770条1項2条)
悪意の遺棄。聞きなれない言葉ですね。
これは簡単に言いますと、配偶者に正当な理由が無く、他方の配偶者と同居を拒んだり、協力せず、生活費を渡さない等の行為を言います。
夫婦は同居し、互いに助け合って生活することが義務付けられています。悪意の遺棄は夫婦間の義務違反に当たるのです。
他方の配偶者の許可を得て、婚姻費用の負担の話し合いがなされている場合などは悪意の遺棄とは言えません。
また単身赴任による別居などは「正当な理由」に当たるため、悪意の遺棄には該当しません。
配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(770条1項3条)
配偶者が最後に消息が有ったときから3年以上生死が不明であった場合、裁判上で離婚が成立する事が出来ます。
相手の生死が不明な状態では夫婦としての共同生活を営む事が不可能で、婚姻目的を果たすことが出来ないからです。
この場合相手が協議の場に出ることも不可能なので離婚調停も行うことが出来ず、調停を経ずして離婚裁判を起こすことが可能です。
では生死不明という状態をどのように裁判所に説明したら良いのでしょうか。
相手が行方不明でも「生死が判明している場合」は生死不明とはなりません。
警察に捜索願を出したり、探偵事務所に所在調査などをした結果見つけられない場合や、弁護士を通じで戸籍を追うなどして尽力しても発見できなかった等の説明が必要です。
3年以上の生死不明で離婚判決をとった後、相手が生きていたと判明したとしても離婚判決は覆されることはありません。
また7年以上の生死不明状態が続いている場合は、家庭裁判所に申し立て「失踪宣告」をする事が出来ます。
失踪宣告は法律上、死亡したと見なされる効力を生じるもので失踪した配偶者の財産を全て相続することが可能となります。
配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき(770条1項4条)
夫婦は同居し、相互扶助の義務を負っていますが、配偶者が回復の見込みの無い重度の精神病を患っている場合、共同生活を営む事が困難になってきます。
本来、裁判による離婚請求は、調停を行うことが法律で決まっているのですが、回復の見込みの無い重度の精神病を患っている場合、調停での話し合い等は困難になりますので調停は不要です。
回復の見込みの有無は、精神科医の診断を基に裁判所が判断する事になります。
ただし、裁判所は配偶者が回復の見込みの無い重度の精神病を患っているというだけで離婚を認めるわけでは有りません。
離婚後に、精神病を患っている配偶者が療養できるような目処の有無に裁判所は注視します。精神病を患っている配偶者が本人の実家から支援を受けられたり様な目処が判断材料になります。
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(770条1項5条)
1~4条に限らず、夫婦関係を破綻させ円満な結婚生活が継続困難になる事由です。
例として以下のような事例があります。
実際に離婚裁判で「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と判断された判例です。
- ●暴力や虐待(DVやモラルハラスメント等)
- ●過度な浪費
- ●性の不一致
- ●過度な宗教活動
- ●長期に渡る別居
- ●長期間に渡る性交渉の拒否
- ●アルコール・薬物中毒 他
重要な事は、他方の配偶者が、婚姻を継続することが不可能だと考えていても、理由や夫婦の状況によって離婚請求をしても離婚が認められない場合もあるという事です。
裁判所は当該夫婦の全ての状況を鑑み、その事柄が婚姻を継続しがたい事由に当たるのか判断します。
