大阪の探偵が解説!探偵の調査料金を当事者に請求できるの?
浮気調査にしても、嫌がらせ調査にしても証拠を手にして相手と対峙するには我々のようなプロの探偵を雇い言い逃れのできない証拠を手に入れるのが一番です。
被害者なのはこちらなのに、探偵の調査費用まで払わなければいけないってバカバカしく思えませんか?探偵である私でもそう思います。
でも、裁判になることを見越した場合、訴える側は「原告」になるのですが、証拠を提示して相手の浮気や嫌がらせを証明するのは「原告側」にあるのです。
では、この調査費用を当事者に負担してもらう事は可能なのでしょうか。
条件があるが、損害賠償として請求可能
判例を見てみると浮気などの証拠を掴む為に探偵を雇うことが必要だった場合調査費用を損害賠償として認めているケースがあるようです。浮気(不貞行為)による探偵の調査料金の請求についてになりますが、具体的にそのような判例をみてみましょう。
■認められた事例~東京地方裁判所(平19(ワ)33582号)(平成20年12月26日判決)
争っている内容が「不貞行為の存在」であること。浮気相手の素性が判らず調査を依頼。探偵調査の内容が被告(浮気調査の相手)と原告(依頼者)の配偶者が旅行にいったり、被告の自宅に滞在したような内容が記載されていることから、不貞行為の内容を証明する必要性があったので調査費用の一部が認めらてた。
■認められた事例~東京地方裁判所(平22(ワ)41115号)(平成23年12月28日判決)
争っている内容が「不貞行為の存在」であること。探偵の調査がある特定の日時に被告と原告の配偶者が性交渉を行ったと言う「不貞行為」の中核部分を証明する内容であったので調査費用の一部を認めた。
このように「不貞行為」が争点になっている場合、その争点の中核部分を証明するものであれば探偵の調査費用は一部、もしくは大部分が認められています。
では認められなかった例はあるのでしょうか。
■認められなかった事例~東京地方裁判所(平14(ワ)17240号)(平成22年12月21日判決)
争っている内容は「不貞行為の存在」であったが、探偵に調査を依頼せずとも、SNS等の書き込みである程度、不貞の事実は証明できていた場合。探偵を雇う必要性がないと判断され調査費用の請求は棄却されています。
■認められなかった事例~東京地方裁判所(平27(ワ)4116号)(平成27年12月2日判決)
争っている内容は「不貞行為の存在」ではなく、不貞が存在していた時に夫婦関係が破綻していたかどうかが争点となっていた。そうなると、探偵を雇って不貞を証明するまでもなかったと判断され棄却されています。
では具体的に条件をあげてみます。
- 不貞行為が配偶者に内密に行われており、配偶者が認めていない。
- 不貞行為を立証する方法が無い。
- 探偵による調査が不貞行為を立証する上で重要な役割を果たした。
- 上記1~3の内容が満たされる場合
このような場合は探偵の調査料金が損害賠償として相手に認められる可能性が高いと言えます。
既にSNSやメール等で配偶者の不貞行為を立証可能な場合、探偵の調査は不要だったと判断され調査費用の請求が棄却されている事から、下手に自身で動いたものを証拠にするより、最初から裁判所に調査費用を損害賠償として相手に請求するつもりで探偵に調査を依頼した方が賢いのかもしれませんね。
寄与度・調査料金によっても認められる金額が変わる
このような判例があります。実際に不貞行為の存在を争った裁判ですが、
- 調査前にSNSなどからある程度不貞は推知できていた
- 探偵による調査が尾行等の行動調査に留まっているた
- 調査料金が弁護士費用よりも高額だった事
などにより、請求額約200万をはるかに下回る10万円の容認額となりました。
- 裁判によって「不貞行為の存在」が争点になっていること
- 探偵による調査が不貞行為の証明についてどれほど寄与しているか
- 調査費用が弁護士費用と比べ高額であるかどうか、その場合その業務内容と認められる部分が損害として認められる
といった内容によって調査費用が損害賠償として認められ、実際の金額が出されるようです。
いずれにせよ、私たち法律の素人には難しい話です。調査費用を損害賠償としてお相手に請求されたい場合は弁護士に相談されることをお勧め致します。
不貞行為の証拠とは何たるか、を理解している探偵に依頼すべし!
寄与度が重要だと書きましたが、
寄与度=不貞行為としてどれだけみとめられる証拠か否か
という事です。
先日、同業他社の探偵から、成功報酬制を謳っている探偵業者が「手を繋いでデートをしている画像」のみで「成功」とし、依頼者から成功報酬100万を受け取ったという話を聞いて目が飛び出ました。
不貞行為の証拠とは「肉体関係を想像させるもの」の事です。つまり、性交渉をする場所を提供する「ラブホテル」への出入りや、浮気相手の自宅への長時間の滞在などの証拠の事を言います。
交渉が決裂、最終的に裁判になった際、「不貞の証拠」といって配偶者が浮気相手と手を繋いでデートしているだけの証拠が出てきたところで不貞の存在は認められず、勿論調査費用を損害賠償請求しても認められないのは火を見るよりも明らかです。
当たり前のことなのですが、不貞の証拠とは何たるか、をきちんと理解している全うな探偵業者に依頼される事をオススメします。